持株会社の必要性とビジネスに対する影響について

持株会社は傘下の複数の会社の株式を所有し企業経営を安定化させるために存在する会社であり、自身では生産活動や販売活動を行わない会社を指します。
近年このような形態の企業が増えており、企業の経営を担う場所と実際の生産活動や販売活動を行う場所が分割されていることが多く、従来の経営と実際の活動を1つの会社で行う場合に比べ複雑になっている印象があります。

長田雄次さんが考える会社経営の最重要事項

株式会社エピック・グループの長田雄次さんいわく、会社の経営において最も重要な事は継続的に安定した生産活動を行うことです。
しかし株式会社においては生産活動の成果である商品やサービスを購入してくれる顧客と、企業の株式を購入し投資を行ってくれる投資家との2つについてその対応を行わなければなりません。

しかし一般的に商品やサービスを購入してくれる顧客は価格が安く品質が良いものを好むため、これらの顧客の要求に対応するためには企業の利益を圧迫する可能性があり、経営の観点からはマイナスの条件として評価されてしまうことが多くなっています。

一方を投資家に対して利益を与えるためには企業の利益を高める必要があり、そのためには顧客に提供する商品やサービスに対して高い利益を得ることができるものを提供する必要があります。
これらの原価に対して販売価格を高めることが投資家に高い利益を与えることにつながりますが、顧客に対してはその満足を損ねてしまう結果となる事も多いため、これらの相反する課題を1つの企業の中で行わなければならないと言う矛盾が生じることになるのです。

顧客満足度を高めることと投資家の利益を守ること

これまで多くの会社ではこの顧客に対する対応と投資家に対する対応を1社で行っていたことからバランスを取ることが非常に難しく、そのどちらかに傾倒してしまう傾向がありました。
そのため顧客満足度を高めるために利益を犠牲にする事は投資家に対しての利益を圧迫することにつながり、結果的にその投資をひきあげられ、企業の経営自体が危ぶまれる状態となってしまうことも少なくありませんでした。

逆に投資家に対する利益を重要視するため顧客に対する対応を軽んじてしまうと顧客離れが生じ、最終的に企業活動の上で大きな支障をきたしてしまう結果となるため最終的には企業の存続が危ぶまれる状態となってしまっていたのです。

特に近年では投資家の傾向が大きく変化し、企業の将来性を重視し長期的に投資をしてくれる人が少なくなる反面、端的に利益を得るために経営状態の良い企業に多額の投資を行い利益を得た時点で投資をひきあげてしまうと言う人が増える傾向にあります。

そのため、資金の確保を長期的に行うことが非常に難しくなっており、常に株式の配当等において高い数値をあげていなければ経営が危ぶまれてしまう状況に至る傾向が強くなっています。
そのような状況では一つの企業で全ての対応を行うことが難しく、またそのバランスを上手に維持することが困難になる傾向が強くなっているのです。

近年非常に増えている企業のグループ化

持株会社はこのような現代の経営の変化に対応するため、株式に対する対応と商品を販売するなどの企業活動の対応を見直しこれらをそれぞれ個別に対応する体制を作る上で非常に重要なものとなっています。

その要因となっているのが近年非常に増えている企業のグループ化です。
企業をグループ化することで1つのグループの中で様々な業種に対して企業活動を行うことができるようになり、市場の環境によらずにグループ全体として一定の利益を上げることができる可能性が高まります。

その上でその活動の成果を株主に提示することでグループ全体としての経営の安定性を評価してもらうことができるため、包括的に投資を受けることができるのがこの体制の最も大きなメリットです。

持株会社は企業グループにおいてそのメンバーとなる事業の全ての株式の管理を行うため、個々の企業の業績だけではなく全体の業績を踏まえた上で投資家の評価を受け株式の制御を行うことができるようになります。
例えば1つの企業が販売不振に陥ってしまった場合であっても、グループ全体として一定の利益を上げていれば相対的に投資家の評価を得ることができるようになり、これをもとに様々な活動を行うことができるようになるのです。

まとめ

持株会社は実際には様々な企業の経営面の制御だけでなく、グループ全体の経営方針に関する制御も行う場合がほとんどです。
これは販売不振に陥っている事業を撤退するためにグループ企業を廃業させその人を別の企業に移動させたり、グループ全体の利益や方針を鑑みながら個々の事業規模の判断を行うといった業務を行っているケースも少なくありません。

持株会社が存在することでそれぞれの企業は生産活動に専念をすることができるようになり、またその内部で働いている社員も安心して勤務を続けることができる体制となることが多いため、現代の株式会社における様々な環境に適応できる体制として高く評価されています。

さらに投資家に対してもそのリスクを軽減する効果的な方法として注目されており、企業を存続させる上では効果的な方法と考えられるものとなっています。

最終更新日 2025年7月7日 by goncat